「福井工芸産業振興協議会」という堅苦しい名の会があります。主に福井市に住む手仕事職人が集っている団体です。私も会員の一人。会員数は30人に満たない小さな団体ですが、結成以来30年を迎えました。その中の6店が創業以来100年以上同じ仕事を続けているのです。しかも3つの店は15代以上続いています。福井にこのように長く同じ仕事を続けている職人がいることを知っていただきたく記しました。

 福井は空襲、地震と大きな災害を受けており、古いものは多く焼失してしまっていると皆さんが口説かれております。そのような中でも、歴史を物語る珍しい品を見せていただきました。おかげで、写真で紹介できる良い機会を得ました。これもWebコラムだからできる特色でしょう。

◆野路染物店

 明治初期から続いている染物屋さん。叔父さんから指導を受け5代目になるそうです。春山町松本通り(元の北国街道沿い)。このあたりには老舗が多く残っています。そばには用水が流れ、染物屋さんには必需の水が確保されています。井戸もあったそうですが・・・。店先には染物の作品が飾られています。 長い歴史を物語るものとして、銅で作られた釜を見せていただきました。染料で真っ黒、銅製ということは聞かなければ分からないほど。持ったときの軽さで打ち出しということは分かります。空襲・震災と何度も焼けたから回りが痛んでしまっています。戦時中も許可を得て供出は免れたそうです。

 張り木は布を両端から引っ張るときに使う道具。お手製だそうです。自分で釘を打ち、曲げたから全部曲がり方が違っていると笑って話されていました。

 もう一つ拝見したのがこの木の箱。金庫かと思ったのですが、文庫でした。ふたを開けると、筆と硯(すずり)。引き出しの中には、細々したものが入っています。