職人にとって道具は分身。道具なくして仕事は出来ません。
道具を見ればその職人の技量が分かるとはよく言われることです。   
事実、上手な人は良い道具をよく手入れして、使いやすいように工夫し使っています。
そうしないと思うように仕事が出来ないからです。

私も長い間、多くの道具を使い続けています。
仕事を始めた頃は、最近のように電動工具や精密な機械がありませんでしたから、
従来の道具を使うしかなく、何にも思わずに当然の事として昔からの方法で仕事をしていました。
有ったものといえば電気ドリル、糸のこ盤、丸鋸ぐらいでしょうか。

今では、如何に機械を使いこなし、能率を上げるかが大きな課題になっています。
それでも変わらないのが彫るということ。電動の木彫機も出てきていますが今ひとつ ・ ・ ・
(時折使うことはあります。堅い木や同じ物が大量にあるときぐらいです。)

今回、テーマとして取り上げたいのは最も頻繁に使う刃物のことです。

木彫では切り出し小刀を一番多く使います。この様な形をした刃先の刃物です。    
皆さん、学校で一度は手にしているはずです。
指を切って、血を流した思い出を持っている方もいるのではないでしょうか。
切り出し小刀といいます。
意外と知られていませんが、右刃と左刃があります。
ホームセンターなどでは右刃しか販売されていません。
左刃を持っている。使ったことがあるという方はごく僅かでしょう。
左刃は刃物の専門店でしか入手できません。折角ですから、小刀には表・裏があること。
そして地金(じがね)と鋼(はがね)から出来ていることも知って下さい。

木彫は伝統工芸の世界。まだしっかりと尺貫法が生きています。
ホームセンターではmmで標記されていますが、 
専門店では、厘・分・寸・尺のほうがはるかに分かりやすい。
           
木彫は沢山の形状の刃物を使いますが、使い切って新しくするのは小刀と平ノミぐらいです。四分(幅12mm)の切り出し小刀を4本 五分(幅15mm)の切り出し小刀を2本
(比較のため新しいものも並べてあります。)

五分の平のみも一本使い込んでいます。

短くなった刃物は最後まで使い込まないで、少し残して新しいものと取り替えます。切り出し小刀は先を曲げたり研ぐ角度を変えて、 
特殊な場合に使えるようにします。