ローマ神話の中で最も有名な神様がバッカスでしょう。言わずと知れたお酒の神様なので私たち業界人は崇めなくてはならないが、どうにもあんまり崇められない。
それはお酒に付き物の狂乱の神様でもあるからかも知れません。暴れん坊将軍なのです。

お酒と豊穣の神、バッカス。ギリシャ神話のディオニュソスと同一視されますが、最高神ゼウスと人間の女性セメレの間に生まれた私生児。本妻に唆されお母さんセメレはゼウスが神に変身する時の稲妻に打たれて死んでしまいます。ちょっと出生は可哀想なの。そんなせいか他の神様と仲良くせず、狂気を孕んだ変わった神という位置付けになってしまいました。

そんな彼は、美しい若者か髭を生やした中年として描かれます。でも綾小路きみまろのように女性の熱狂的な崇拝を受けます。よく絵画にも描かれています。イタリアのウフッツイ美術館にあるカラヴァッジオのものが有名。お酒は飲むと当たり前ですが酔う。

酔うと理性のブレーキが外れる。そうすると本性が出る。ヤらしくなる。それがバッカスのとりまき女性〔バッカント〕の奔放さやみだらさとなっているようです。お酒を飲む時はほどほどにね。

ワインのラベルにもバッカスは登場します。よく見かけるのはフランス、ブルゴーニュ地方の大手ルイ・ジャドの作るワインでしょう。全てのラベル中央を飾る端正な貌がバッカス。美しいものは性差を超えます。お客様で「ラベルに女の人の顔があるもの」と注文をした方がいらっしゃいました。それからフランス、ボルドー地方のシャトー・ダルマイヤック。超高級ワインの代表格、シャトー・ムートン・ロートシルトが所有する格付けワインです。そのラベルに描かれるのはプチ・バッカス。楽しそうに踊っていますが、よく見ると右手に持つ葡萄と体の割り合いが変。葡萄が大き過ぎる。でも嬉しそうだからいいや。

所有者が代わったり、無くなったりする度、ワイン名もラベルも変遷しましたが、今は可愛いバッカスで落ち着いています。

バッカス繋がりで思い出した。2009年4月20日〔月〕にユアーズホテルフクイ様で「ワイン紀行 イタリア編」が開催されました。ゲストは大人気コミック「神の雫」の名脇役イタリア長介のモデルとなった本間敦氏。私も本間氏と一緒にお客様のテーブルを回るお手伝いをしました。

2008年5月には弊社ヤスブン主催「フクイ・ワインを楽しむ会」にも来ていただき福井は2度目。「ワイン紀行」では亀梨和也主演のテレビドラマ「神の雫」が終了直後という事もあり、乾杯の発声は「目覚めよバッカス」でした。ちょっと長いので唱和の声がちっちゃかったですね。乾杯は凄いな。カンパーイ。ドイツ語ではビールはプロースト。ワインはツンボール。真ん中に長音が入るのが唱和のミソと見ました。

【しりとりワード!】

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