陸地と海洋の位置関係、そこを支配している気団により、季節ごとに特徴のある天候が卓越します。大雑把に言うと「雨季と乾季」です。

 インド洋を挟んでアフリカからインドシナ半島にかけては、5月から9月には湿潤な南西の風が吹き大量の雨が降ります。特にインドの雨季の始まりは劇的で、インド半島の西側ボンベイの平均雨量を見ますと、5月は16mm、6月は520mmと30倍以上の差があります。雨季が始まり旱魃(かんばつ)の恐れがなくなると、インドは政治も経済
も活気を取り戻すといわれています。日本や中国の梅雨は南西モンスーンと深い関わりがありますが、太平洋高気圧の張り出しにより、雨季の期間は短くなります。

 エジプトのナイル川の洪水は毎年規則正しく起こり、それは災害と共に沃土をもたらしています。その水源は赤道直下エチオピアのヴィクトリア湖まで4千マイルもさかのぼります。エチオピアは冬はほとんど降雨がありません。春から秋にかけては雨季が続きピークは7、8月です。これはアフリカ・モンスーンによるもので、エジプト人はモンスーンによるナイルの定期的洪水により太陽暦を発見しました。

※ヴィクトリア湖 世界で3番目に大きい湖で68,000平方キロメートルで琵琶湖の約100倍

※アフリカ・モンスーン モンスーンの語源はアラビア海で約六ヶ月交替で吹く南西風と北東風のことで、古くからこの方面の航海者は知っており、利用してきました。南西風は雨をもたらし、北東風は砂漠を吹いてくるので乾燥しています。東南アジアのモンスーンと同じ時期に吹きますが、区別した呼び名です。航海者が使う風に貿易風がありますが、モンスーンとは違い、ハドレー循環によりできた高気圧から吹き出す風で、北半球は北東の風、南半球は南東の風です。

 チベット・ヒマラヤ山塊はモンスーンを左右しています。ジェット気流は南北の気温差が大きいところに出来て周りに比べて強い風が吹きます。北半球の冬はシベリアで寒気が蓄積されて高気圧が出来ます。このためジェット気流はチベット・ヒマラヤ山塊の南側を吹いています。夏になりますとシベリア高気圧は消滅して、ジェット気流はチベット・ヒマラヤ山塊の北側に移動します。

 チベット・ヒマラヤ山塊の西側は乾燥アジアで、その東側は湿潤アジアです。乾燥アジアはイラク・イラン・アフガニスタンなどで、湿潤アジアはインド・ミャンマー・フィリピンなどです。この二つの地域の雨の降る季節は全く逆になっています。乾燥アジアの年間雨量は湿潤アジアの10%ほどで、例えばアフガニスタンのカブールの年間雨量は約300mm、ミャンマーのインド洋に面したシトウエは4800mmとなっています。この二つの地域の雨の降る季節、すなわち雨季は全く逆になっているのです。

 余談ですが、ヒマラヤ登山は、冬のモンスーンと夏のモンスーンの交替期の5月下旬頃、天気が安定する時期に行われます。

 モンスーン・アジアでは、米作中心の農業が行われ、インドシナ半島の耕地の80%は水田で、世界の米の90%以上がアジアで作られています。定面積からの収穫量では穀物中で最大の米が作れるのは、大量の水があるからです。

 アジアの規模から見ると比較になりませんが、地形により気候が大きく異なる例の一つはハワイ島です。大きさは四国の半分位ですが、島の中央北側は4205mのマウナ・ケア山、南側は4170mのマウナ・ロア山となっています。太平洋高気圧から吹く風は東からで、島の東側のヒロは雨が多く、西側のコナは山越えになるので、晴天の日が多くなっています。また冬の高地は雪におおわれスキーができるそうです。100km走れば天気が変わるのは、北陸の冬、福井から上りの電車で米原付近まで行くと雪空はなくなり陽がさしてくるのに似ています。

 気象庁によるとエルニーニョ現象は冬まで持続する可能性が高いと予想しており、最新の1カ月予報は気温は低目で日照時間は少ないと予報しています。8月17日の天気図は珍しい形で、夏には高気圧がある小笠原付近に低気圧があり、日本付近はオホーツク海から南下してきたやや冷たい高気圧におおわれています。