「サラナ親子教室を再開してください。再開するのを待っていますから・・・」。そんな電話をいただいたのは、上のお子さんがまだ誕生後数ヶ月というときから‘サラナ親子教室’に通ってこられていた一人のお母さんからでした。

意識が身近なところでも極度に自分中心になってきている今の時代、人々のそうした時代意識のあおりを受けて、体力的にも、気力的にもすべてのことにおいてダウンした状況のなかで、これまでやってきた「親子教室」も長い間お休みしていました。

保育園でお子さんをお預かりする中で、核家族化している現在の家庭における子育てで、お子さんをお預かりする以前の問題として、親御さんへの社会的子育てへの支援の必要性を日増しに強く感じていたのでした。

そうした思いの中、平成5年、全私保連が保育界に先駆けて初級、中級、上級と段階を踏まえた‘育児アドバイザー’としての資格取得講座「育児カウンセラー養成講座」が開催されるようになりました。

この講座に参加することがきっかけとなり保育園でも「育児講座」を開催し、その何年か後に総本山京都知恩院での「サラナ親子教室インストラクター養成講座」参加のご縁をいただき、それまでの「育児講座」を更に進展させ、平成16年から「サラナ親子教室」を開催してきたのです。ちなみに‘サラナ’とは古代インド語(パーリ語)で「安らぎ」、「帰依すること」、「常に安らぎの心を持つ」という意味だそうです。

子育てへの支援には親自身への支援と、子どもの立場に立って親の育児への支援があります。しかし、社会が「子育て支援」としてスタートしたのはその両者がきちんと区別されて始められたというよりもむしろ、親の特に母親の育児による孤立化や、ストレスなどに対しての支援と国策として子育て中の母親の就労を目的として行われているともいわれていた親への支援が重点となってスタートしたのです。各地の拠点となるところには支援センターが設置され、好きなときに好きなところに親子で参加し、そこでひと時を過ごすという支援方法がもうすっかり人々に定着して現時点にいたっています。

しかし、親へのそうした支援のあり方だけではなく、もう一方の家庭生活の中で子どもの育ちを重視した日常ののあり方、たとえば一日の過ごし方や、食事、衣服や住まい、掃除、洗濯、家族関係の問題、子どもとのかかわり方など具体的なことで困っている親御さんも多いのです。今日のいろいろな情報をうまく活用しながら上手にこなしておられる方ももちろんたくさんおられることでしょう。しかし、身近に相談したりアドバイスされることもない中で暗中模索的に取り組んでいるだけではなく、なかには子育てに関心がなかったり、無知であったり、親中心の行き当たりばったりな生活を送っている家庭も少なくないのです。ですから一方においてはそうした人たちへの支援のあり方も早急に見直されていかなければならないのです。

このお母さんの言葉に何とか応えたい。このような時代だからこそ一人のお母さんの要望であってもその要望に添いながら共に歩んで行くことの必要性を強く感じたのです。

そして、その2年後の今年に入って、会場を狐橋から、浅水町にある月泉寺に移し、さらに引き続き参加される他の方も加わり、回数もそれまでの週1回を月1回に減らし、内容的にも親御さんのご理解のもと、私にとって無理のない内容から始めさせていただいたのです。

これまではお子さんのアトピーなどの問題もあって食事にも深い関心があり、毎回そのおやつに出していた材料のお野菜も、自然な畑づくりから共にやってこられた方たちです。これまでの学びでだいたいの子育ちの基本的なことはわかっておられるとおもいます。

しかし、日常の家庭における具体的な生活の学びまでは今回は一緒にしていくことはできませんので、ずっと昔、私の母が育児の参考としていた全国友の会の冊子「婦人の友」がご縁で私自身も学ばせていただいていた『福井友の家」をご紹介しそこで学んでいただいています。

月泉寺はもとは尼寺で今は誰も住んでいない寺です。車道から細い道を入った奥まった所にあってあまり人の目に付かない、こじんまりしたその寺は、‘おさなごたち’をほっこりと包み込む、まさに‘おさなご’が育つにふさわしい静かな環境です。

小さい子が育つ場所としては、あまり広くない、静かなそして子どもたちがやさしく包まれているような環境がふさわしいことを知っている親御さんたちにとっても、とても喜んでいただける場所となっています。

当時通ってこられていたお子さんはそれぞれ学校や幼稚園、保育園に行っておられますので、サラナにこられるお子さんはもちろん下のお子さんたちです。

これまでも時間があるときには必ず参加されていたお父さんも、引き続き一緒に参加くださっています。野外に出かけるときには必ず付き添ってくださって、子どもの育ちについてその本質的なことをきちんと踏まえ、社会のあり方についても深く学んでおられ、貴重な意見を言ってくださる心強い存在です。