今年7月17日に南大東島の東に北西進してきた台風6号は北へ向きを変えて徳島県の室戸岬付近に接近して、時速15km~20kmとゆっくり東へ進み、潮岬を過ぎた後南東に向きを変えて鳥島(※1)付近から反転して三陸沖へと去っていきました。動きの遅い台風は西日本に豪雨をもたらしました。このように進路が予想できない台風を迷走台風(※2)と言い、7・8月によく見られます。

 高知県東部の徳島県との県境に近い魚梁瀬(ヤナセ)では19日の日降水量は851.5mmで、国内の記録を更新しました。また、18日と19日の合計雨量は1167.5mmと想像を絶する量でした。

 1955年7月の台風9号(図参照)の動きは奇妙なものでした。7月16日にマリアナ諸島東方で発生し、北西に進み18日に東京の南約600kmの鳥島*付近で真西に進路を変えて20日には種子島の東100kmでストップした後、ほぼ同じコースをバックして21日には再び鳥島に戻り、北東に向きを変えて三陸はるか沖へと去っていきました。このようなコースは1950年以来1例しかありません。

(※1)鳥島 東京都が管理。測候所があったが1965年の火山活動により閉鎖された。アホウドリの繁殖地として有名。明治から昭和にかけて羽毛採取や食肉として一千万羽が乱獲されました。

(※2)迷走台風 新版「気象の事典」(昭和49年版)によると、迷走台風は[zig-zagtyphoon. abnomal track typoon]とあり、「異常経路をとる台風のこと」とあります。台風を動かしている一般流(台風に伴う風以外の風で、例えば太平洋高気圧から吹き出す風や偏西風)が弱くて乱れている場合、台風は蛇行し進路予想は不可能に近く、予報官泣かせです。気象庁では2006年以降「迷走台風」は使わず「複雑な動きをする台風」という呼び名になっています。