突然発生して暴れまくり、足早に去って行った後は、家屋の破壊や電柱・樹木の倒壊などが残される、悪夢のような現象をもたらす竜巻が5月6日の昼過ぎに茨城県や栃木県で発生しました。当時の気象状態はマスコミから詳しく報道されています。気象庁は今回の竜巻の規模をF2(※1)と発表しました。

※1Fujita-scale(Fスケール)
藤田スケール。 建物や樹木の被害に基づいて算出される、竜巻の強度別に分類する等級(表参照)。藤田哲也博士は福岡県出身で米国シカゴ大学教授、ダウンバースト(下降噴流)やトルネードの世界的研究者。ミスター・トルネードと呼ばれました。

大気の不安定は雲を発生させて降水をもたらし、多くの場合は恵みの雨ですが、今回のような激しい現象はお断りしたいものです。上層が冷たくて下層が暖かい不安定な状態は度々現れます。予報の現場ではSI(※2)と言って雲の発生や発達の目安として毎日参考にしています。SIの計算は上層の風向きによりますが福井は輪島・松江・潮岬の観測データを使います。観測値は9時と21時の2回ですからメソスケール(※3)には有効ですが、今回のようなマイクロスケールには的確に利用できません。

※2SI(stability index)安定指数
850hPaの空気を外部から熱を加えることなく500hPaまで持ち上げた時の気温と500hPaの気温差で、持ち上げた空気が周りより暖かいと更に上昇するので不安定となります。

※3メソスケール
大気の運動の規模を大きさや現象の寿命(継続時間)でつぎの3つに分けています。マクロ(大、季節風など)、メソ(中、台風・海陸風な
ど)、マイクロ(小、竜巻・塵旋風など)

気象レーダーは雨の降っている範囲や強さを観測しますが、レーダーエコーの強い雨雲と特殊な形をきめ細かなスケールで常時監視することで、竜巻が何処で起きるかを推定することが出来ると思います。米国のある研究者によると、鉤状のレーダーエコーが出来るとトルネードになる確率が高いと報告しています。

このような監視をするには人員を機材を増やさなければ出来ません。東尋坊気象レーダーが開設された昭和40年には6人の観測員が昼夜監視していまし
たが、昭和57年に映像はデジタル化され、さらに通信手段の進歩により遠隔操作が可能になって、現在は東京で全国のレーダーを運用しており、福井は1人の技術者が機器の管理をしています。

米国では竜巻(トルネード)が年間約1000個発生し、おもに北アメリカ大陸中部に多く発生して被害を受けています。このため米国では移動レーダー観測車が竜巻の規模や進行方向をきめ細かく観測して、住民の避難を支援しています。藤田スケール

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