オホーツク海高気圧から吹き出す海洋性寒帯気団と、北太平洋高気圧から吹き出す海洋性熱帯気団との間にできる寒帯前線を梅雨前線と呼んでいる(気象の辞典より)、とありますが、気象学的に単純に表現したものです。中国では梅の実が熟する頃の雨季なので梅雨と呼び、日本では江戸時代までは「さみだれ」(「さ」は5月を「みだれ」は水垂)と呼んでいました。オホーツク海高気圧が中国揚子江流域まで影響するとは考えられないので、モンスーンとの係わりもあります。

 海洋性寒帯気団とは、寒帯の海洋上に発現する寒冷多湿な気団で背は低いオホーツク海高気圧です。東北地方に吹く「山背(やませ)」は冷害をもたらし凶作の原因です。海洋性熱帯気団は、熱帯および亜熱帯の海洋域に発現する高温多湿な気団(太平洋高気圧)です。

 また、寒帯前線は、寒帯気団と温帯気団の間に生ずる前線のことで、中緯度に存在し大規模で前線上には温帯低気圧が発生します。日本付近に発生する前線はこれにあたります。

 モンスーンは、アラビア海で夏は南西風が、冬は北東風が吹くのが語源ですが、インドや東南アジアでは夏の雨季を指す場合が多いです。東京の入梅とインドのマラバル海岸のモンスーンの入りの遅速がほぼ対応しています(気象学者朝倉博士)。

 今年の6月上旬以降の天気図には梅雨の主役「オホーツク海高気圧」が見当たりません。オホーツク海は、冬の流氷により低温で大気下層の空気が冷却されて沈降し高気圧を形成しますが、今年はオホーツク海東部の水温が5月から6月上旬にかけて平年より高いのが高気圧の出来ない原因だと思います。

 沖縄・奄美で5月中旬に、九州・四国・中国・近畿・東海・関東甲信は5月下旬後半に、北陸(新潟を含む)・東北は6月中旬後半に梅雨入りしました。福井の緯度は東海・関東とほぼ同じですから仲間に入れてもらいますと、5月29、30日は34mmの降水があり梅雨らしい天気でした。

 その後は北陸入梅の6月18日まで雨らしい雨は降らず、最高気温25℃以上の夏日は15日、真夏日は6日で、梅雨はどこへ行ったと揶揄されました。6月18日は大陸から東進してきた前線により、所により大雨警報が出る荒れた天気で、梅雨らしさが戻ってきました。梅雨前線は本州南岸から北上してくるパターンが多いのですが、今年は東南アジアからモンスーンがもたらす湿潤気団によるものでした。入梅の形も色々あるものです。

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