今年の8月までの台風発生数は平年値(1981年から2010年までの平均値)13.6個にたいして16個と多くなっています。幸い福井地方には大きな影響はなく推移しています。

太平洋戦争終結後の昭和20年9月は枕崎台風が、10月には阿久根台風が西日本に大きな被害を与えました。両台風の犠牲者は4千人を超し、耕地被害は29万7千ヘクタールなど、戦後の日本に大きなダメージを与えました。

太平洋戦争の頃は農村の働き手が軍に徴用されて、米の生産は900万トン前後あったものが、昭和20年頃は冷夏の影響もあり600万トンに落ち込みました。冷夏の原因は台風の進路によるところが大きく、7月の台風が本州の東を北上すると日本付近は北風が吹いて夏季の気温は下がり、米は不作になり、反対に本州の西を北上すると南風になり暖かい空気が流れ込み豊作をもたらすと考えてられていました。

気象技術者は台風の被害を未然に防ぐ方法として、原子力のエネルギーが使えないか検討しました。台風のエネルギーは、広島型原子爆弾の100倍と算定しており、原子爆弾によって台風を破壊することは不可能と考えていましたが、原子力のエネルギーで台風の進路を変更出来ないか、出来るとすれば日本の冷夏も避けられ、米の増産に寄与できると考え、米国に提案しました。米国航空気象隊勤務司令部(ワシントン)からは次のような回答がなされました。
ほぼ原文で紹介します。

「日本の著者は、原子爆弾のエネルギーと台風のエネルギーは比較しえないことを指摘し、原子爆弾を以て台風を破壊する試みは実現出来ないと結論をくだしている。此はアメリカの気象学者の算定と意見の一般的傾向に一致するところである。・・・中略・・・。原子エネルギーを適当に台風に加えれば、日本に冷たい夏の起こることが避けられ増収出来ることを結論している。然るに之等の結論は正当ではない。なぜならば、此の地方の夏季に於ける平均気圧図を一見すれば台風の一般的経路は当地方の一般的な大気の還流の結果であることが分かる。・・・中略・・・。太平洋高気圧の西端の位置は全てこの地方の大きな大気の流れによるもので、このような大きなシステムはその一要素に僅かな作用が与えられてもその影響は認められないであろう。而もかかる作用の成功如何が台風の進路は慣性をもっているという仮定即ち台風の進路は一時之を曲げれば最後まで変わるという間違った仮定に依存している時は特にその影響は認められないであろう。」

提案は認められませんでしたが、70年前に食料難を解消出来ないかと知恵を絞った気象技術者に敬意を表するものです。


8月の県内の気象状況は降水量は一部を除いて少なく、気温は全般に低めで、日照時間も少なめでした。(表参照)