◆もどかしい春の訪れと花粉症

雪もすっかり融け、それでも行きつ戻りつの中 確かに感じる春の訪れ。そんな3月の上旬畑に行ってみるとふきのとうがまだつぼみながら少しずつ開きかかっていました。

今年はそのつぼみの開き加減に珍しく間に合ったようです。仕事柄よく声を使う家族の‘ふきを食べると不思議に声が出る’という要望に応えてのこの早春の‘ふきのとう味噌’から始まるふき料理が始まるのです。ふきはふきのとうだけではなく、ふきのとうの伸びた軸、若く柔らかい間の葉の佃煮や、メインとして料理に使われる茎などいろいろな料理法で夏の終わりのかなり長期に至るまで楽しみながらいただくことができるのです。

また福井市の山間部に住んでおられる人から、大きな箱にきれいに並べられた取れだちのたくさんの肉厚のしいたけと、大きめのビニールの買い物袋いっぱいの葉わさびをいただきました。春とはいえいつまでたっても寒い日が続く今年は、山にももう春がきているのだ!ほだきに顔を出し始めたシイタケやわさびが生えている清流の流れの音までが聞こえてきそうな初春の訪れの山の気配に満ち満ちた頂き物に心躍る思いでした。葉わさびはわさび特有の鼻にツーンと来て、強力に刺激するあの特有の香りを出すにはちょっとしたコツがいるのです。

うまくできないといけないと思ってしょうか、あの特有のよい香りがでた状態にしてくださったものまで別に作って持ってきてくださっていたのです。ふたを開けてちょっと香りをかぐと思わず鼻をつままないではいられないほどに香りが立っています。そして、ちょっとつまんでいただくとなんと柔らかい茎でしょう。今までこんな柔らかい時期の葉わさびをいただいたことがありませんでした。

葉わさびの茎のおひたしは大好きなので、いつもはもう少し遅い時期のものをほんの一束ほど買ってきて作ったり、山に行ったとき運よく出会えば少し摘んできて作ったりしてきておりますが、こんなにたくさんの、しかもこんなに柔らかい時期のわさびは初めてです。しかし、どんなにおいしいといっても一度にそんなにたくさん食べられるものでもありません。こんなにたくさんどうしようと思いましたが、食べられなければ冷凍という方法もあるというどこかで聞いたことが頭をかすめました。そう思うと俄然料理欲がわきあがってきました。

いろいろな方法はあると思いますが、まずはきれいに洗って細かく切って、塩をして葉わさび全体に傷をつけるのです。そして熱湯をかけて、すぐに冷水につけ手早く絞ると、あれほどたくさんに思えたわさびの茎も、少し大きめのタッパー一杯分くらいになってしまうのです。そしてそのまま冷蔵庫に入れ香りの立つのを待つのです。

最もおいしくいただける時期やその料理後の量に対する感覚は、昔は、自然と向き合って暮らしておられる人たちはその日常生活の中で誰もが熟知していてあたりまえのことだったのでしょうが、さりげないなかにも人様に物を上げるということのこれほどまでに行き届いた心配りというのか、やさしさをも料理をしながら本当に久しぶりに味あわせていただいたのでした。ことのほか周りにはこの葉わさびの醤油漬けを好む人が多くいて、冷凍するまでもなく差し上げてきれいになくなってしまったのです。

一昨年にもなるのでしょうか、‘生かされている命に向き合うそしてその育み(4)でもお伝えしたかと思いますが、ふきのとうなどに始まる これからの楽しみである山菜に含まれる‘苦み’などは、疲れた体、特に肝臓には適量頂くことがとても大切なことだということでした。

そして今の季節はまた、多くの人を悩ませる花粉症の季節でもあるのです。昨年から孫の一人が突然に花粉症にかかりました。そして今年も、目は真っ赤。鼻水ぐしゅぐしゅ。側で見ていてもいたたまれなくなります。薬に頼るだけでなく何か対策をと考えて、アトピーや花粉症の治療に関する何冊かの本を取り出して調べてみました。その中に、2013年に発行されて間もなくに送られてきていた『アトピー性皮膚炎の理解とアントロポゾフィー医療入門』―アトピー性皮膚炎に疑問を持つすべての人に―(SAKS _BOOKS)読んでみました。この講演録は講座の通訳者でもあり、講演録の編集者でもある竹下哲生氏から、送っていただいていたもので、皮膚科医、リューダー・ヤッヘンス氏が2009年8月18日から約一週間にわたって四国各地で開催された講演会と集中講座の内容が再構成され翻訳されたもので、これまでずっと気になりながらなかなか手にとって読むことができなかった講演録でもありました。

その中に―花粉症の理解と治療―と題しての集中講座で、一般には考え及ばない大変興味深い人智学的観点から捉えられた花粉症について話されていますので、ご紹介したいとおもいます。

――花粉症を患っている人間の「空気の組織」は、魂と共に体の外へと出てしまっています。そして、この「魂と共に空気の組織が体のそとへ出る」という現象は、魂が春の喜びを体の外で満喫しようとすることで起こるのです。―それまで中に凝り固まっていた―魂が、ある程度外に出ようとすることは健康なことです。しかし、それが度を超えてしまうことで空気の組織の乾燥を生み出す力、形態を生み出す力までもが失われてしまうのであれば、それは不健康な状態なのです。こうして、本来ならば空気の組織によって形態を与えられ、押さえつけられていたはずの水の組織、(液体機構)が緩むことで、例えば鼻の粘膜が膨れ上がったりするのです。このようにして鼻からは鼻水が、目からは涙があふれるのです。ですから花粉症というのは、空気のエレメントによる乾燥の作用と形態の作用が失われたことで起こる――洪水のような――「水の惨事」なのです。

そしてその治療について、内から外へ周囲に向かって出ていこうとする魂の過程に逆向きの作用を与えることです。そのためにレモンの酸味やかりんの渋みの果汁を少しなめるだけで、われわれの魂は収縮し、集中し、目覚めるのです。こうした植物の作用が、魂が外に出てしまっている花粉症を治療するために有効であると理解するのは、難しいことではないと思います。――と、シュタイナーの人間学の基本理念である「人体の三構成」を踏まえてその治療薬・レメディーについても説明されているのです。

そして、ここでは詳しくはご紹介できませんが「人体の三構成」について具体例を挙げながらとてもわかりやすく話されているのです。脳を含む頭部を代表とする覚醒した意識を持つ神経感覚組織。その神経感覚組織が活発に活動している領域には強い形成力が働いているというのです。神経感覚系の組織に機能面で対極に位置するのが腹部に始まる代謝系の組織によって人体は生命力を得て元気になるというのです。その両者を見事につなぐ働きをしているのが心臓の鼓動と肺の呼吸に律動系(リズム)によって支えられているというのです。空気のエレメントによって乾燥を生み出す力、形態を生み出す力の神経系と、その作用が失われることによって水のエレメントと深く結びついている(生命力というのは水のエレメントと深く結びついているという)代謝系の視点からアトピーや花粉症について話されているのです。

またゲンチアナという植物を用いた薬が消化機能が低下したアトピー性皮膚炎の治療薬として紹介されています。この植物は発芽から7年目にやっと花をつけ、70年もの長きに亘って成長するのだそうで、春先に最も苦くなり、基本的に舌の付け根辺りで感じる苦い味のするものは神経を通して消化系の腺組織とつながっていてすべて腹部の働きを活発にするという。なにか漢方講座でお聞きしたことと共通するようなことも話されているのです。「人体の三構成」についてのほかに、シュタイナーに関するどの本を読んでも必ず出てくる「人間は自我・アストラル体・エーテル体・肉体から成り立っている」という子どもとかかわる上で基本的に理解しておかなければならない人間の本質の四要素と四つのリズムについても医学的観点からわかりやすく説明されています。

関心のある方は是非この講演録を手に取られてお読みくださることをお勧めいたします。

◆14歳から21歳までの成長――解放されたアストラル体

誕生とは一般に母体から目に見えて、子どもの肉体が生まれてくることをさして言われています。しかし、シュタイナー教育では、誕生には肉体の誕生のほかに目に見えない膜に包まれていて次のように4回の誕生があるといわれています。

そして誕生した4っつのそれぞれの要素には直接、教育という手段でかかわることができるというのです。

・母体からの肉体の誕生。  主として関われる時期・・・0歳から7歳
7歳までの感覚を働かせ模倣衝動を大切にしながら、基礎的身体器官の形成にあたる時期
見えない膜からの
・エーテル体(生命体)の誕生。主として関われる時期・・・7歳~14歳
感情の力を大切にして、自分と対象との関係を大切に感じられるように教育する時期
・アストラル体の誕生(感情体)。主として関われる時期・・・14歳~21歳
それまでの成長期の教育の課題を踏まえてこれからの成長期の教育の課題が果たされていくのだというのです
・自我の誕生。主として関われる時期・・・21歳~28歳
14歳から21歳まで時期は、それまで見えない膜に包まれていたアストラル体(感情体)が解放されて、そのアストラル体に直接関わって教育できる時期だというのです。

『シュタイナー教育を語る 高橋巌著』(角川選)によるとこの時期はとても激しい時期で、いろいろな問題が同時に内側からも外側からも押し寄せてくる、アストラル体と自我の葛藤という言葉で言い表されている緊張を伴った時期でもあるというのです。

アストラル体の発達する時期というのは私たちの意識が明るくなる時期でもあり、意識が明るくなるというのは、周囲の世界とのかかわりを深めて、周囲の世界に適応しようとする行為をますます活発にしていく時期でもあるというのです。ですから子どもの心の中が明るくなると、子どもが社会に関心を向けるようになる、そういう能力がはっきりあらわれてくるともいえるというのです。中学校の2年生、3年から高校までのこの時期に、子どもは論理的に、つまり、因果論的にものを考えること、外に対する適応力をつけることを、あらゆる教科を通して学ぶというのです。重要なことは因果関係を学ぶことと、社会に適応することを学ぶことだといわれています。

この二つの衝動が充たされたときはじめて本当に地上に生きる条件が整うというのです。

シュタイナー学校ではこの時期にあらゆる教科を通して外との関係を取り戻すための教育を徹底して始めるというのです。

その一つに、例えば保健の時間に、頭が痛くなったときは、その原因をどう考えたらいいのかとか、便秘をしたり下痢したりするのはなぜかということまで含めて、上記の「アトピー性皮膚炎」の講座で話されていた「人体の三構成」、頭の部分を神経感覚系、手足・代謝系の部分を運動系と考え、そしてその運動系と神経感覚系との中間にあって、それを媒介するものを呼吸循環系と考えてその三つの関係から身体の機能を考えて一つ一つの治療の、医療の実際をつっこんで教えるのだというのです。

思春期ともいわれているこの時期は、今日では社会を震撼させるような様々ないじめの問題、自殺の問題などなどたくさんの課題を抱えた時期でもあります。

そうした精神的に不安定なこの時期について次回でも「アストラル体」についてを含めてもう少し掘り下げてみたいと思います。

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