石田竜一さん

荒川公良さん

内田友紀さん

田中陽明さん

佐竹正範さん

 福井って、こうなったらもっと楽しいのに—。福井新聞は今年、そんな思いを形にしてみる「空想まちづくり」を始めます。キックオフとして、建築やITなど各分野で活躍する東京の本県出身者5人の座談会を開催。自由な発想で未来の福井を語り合いました。福井県内各地の住民には、地元の理想像を描いてもらいました。皆さんは、どんな空想が浮かびますか?

■「遊び心、必要でしょ。」 不動産コンサルでビル再生 石田竜一さん(47)

■「どんどんガラパゴス化。」 リノベ建材ネットショップ運営 荒川公良さん(36)

■「人、暮らし 超ディープ!」 都市イノベーションを研究・実践 内田友紀さん(32)

■「風景にアイデンティティーを。」 「集合知」で価値を生み出す 田中陽明さん(45)

■「高齢者の自活エリアって どう?」 ご当地eコマースの仕掛け人 佐竹正範さん(42)

佐竹 僕の空想はね、高齢者だけのコミュニティーエリアをつくったらいいと思ってるんですよ。自活をするという条件を満たす人だけ入れるような。

田中 みんな行きたくて、そこに行くわけですね。

佐竹 野菜や米を作ったり、何でもいいからみんなが人の役に立つことをして、支え合うまち。幸福度日本一の福井だから、世界中のお年寄りが最期を幸せに迎えられる場所っていうブランディング。

荒川 やっぱり、世界ブランドを目指すべき。福井はものづくりの家族経営的な会社が多い。イタリアには世界的なブランドがあるけれど、一企業が完成品まで仕上げて輸出している。そんな企業が集まって、その地域名がまたブランドになる。鯖江市の眼鏡産業もあるし、そんなイタリア型が福井にはまるんじゃないかな。

田中 職人に対するリスペクトや保護策も必要だよね。

荒川 もう日本国内をすっ飛ばして、世界に飛び出す。そのために、どんどんガラパゴス化して、独自性を守ってほしい。古いことを変わらずやっていくことが、50年、100年後に大きな価値を持つ。それでいて、その裏では、めちゃめちゃITが発達しているような地域がいい。

内田 個人的に県外の人を呼んで、ものづくりの現場を訪ねて人に会うっていう福井ツアーをやった。ローカルな暮らしに触れて、みんなものすごく福井のファンになった。食べ物はおいしいし、見どころだって超ディープ。

田中 あと、福井は持ち家率が高いですよね。県産の杉材を使って、雪の多さにも対応した福井のオリジナルデザインの住宅を提案していくのはどうかな。日本の住宅は米国の建築様式がそのまま流通して、風景にアイデンティティーがなくなってしまった。でも福井なら、個人個人が家を持つということは、それで風景がつくれる。

内田 森も生き返るし、まちの景色もよくなる! 本当は両方の景色はつながっているんだよね。

佐竹 じゃあ、「県外の木は使うな条例」をつくるとか?(笑)

田中 輸入材はもちろんなし。まさに、ガラパゴスですね。

佐竹 明治維新のときに3300万人だった日本の人口が、たった150年で1億2千万人になった。それが、今から150年かけて3800万人まで減るんですよね。

荒川 もういち早く、そっちに行っちゃうとか。地元でも、古い家が空き家になって、誰も継がないから、つぶして駐車場になっている。だから、先を見越してそれをもっと加速させちゃう。人口が半分だった時代の風景や産業と今を見比べて、残すべきものだけ残す。どうせ全部は残せないから。

佐竹 それはすごく現実的! もう江戸時代になっちゃえっていう? めちゃめちゃ観光資源になりそう!

内田 どこを集中的にデザインしていくのかを、逆引きしながら考えていくってことですね。過疎の地でどうやったら人々が生き残れるかの実験は、世界中でこれからきっと行われていく。日本は高齢化の最先端だから、地域で実験を重ねれば、世界中からそれを見に来る人が現れる。

佐竹 地方創生って、結局は地域のファンづくり。何がキーになるかというと、やっぱり人なんだよね。

田中 人がつながる場として考えるのが、災害救護カー。お風呂やベッド、キッチンを積んだトレーラーハウスがあれば、被災地にもエンターテインメント性を入れられる。日常的にも、公共スペースに置いて使えるようにする。何か異質なものを入れないと、人ってつながらないと思うんですよね。

内田 JR福井駅西口にできた恐竜モニュメントは、かなりいい。「あの県、アクセス悪いんだけど、何か起きてるよ」みたいな。

荒川 毎月ちょっとずつ動いたりすればいいのに。ある日いなくなって、どこ行ったとか?

内田 一乗谷にいた! そっちかー、みたいな(笑)。

石田 もう、福井をジュラシック・パークにしますか。

田中 バーチャルならつくれそう。

内田 眼鏡型ウエアラブル端末をみんなで掛けて、勝山市の山を歩くと、恐竜がぽんぽん出てくる?

荒川 その中に、リアルにタケノコ掘ってるおばちゃんもいたりして(笑)。

石田 福井に移住しなくてもいいから「疎開」しませんか、ってどう?

内田 「2拠点生活を奨励します」って言ったら、みんな来そう。「見て、理想の田舎がここに」って感じ。

石田 大本山永平寺は、禅宗の知名度でいえば全世界的でしょ。福井に1週間滞在して、座禅を組んだら「禅マスター」の称号をもらえる仕組みをつくろうか。

佐竹 実は、これからの地方は、日本だけじゃなく、世界の観光都市と競争しなきゃいけないんですよね。

石田 石川県羽咋市は、ローマ法王に米を食べてもらって有名になった。なら今度は小浜市が、オバマ米大統領に焼きサバずしを送ったら面白くない?(笑) そんな遊び心って必要でしょ。

内田 こういうことを、ざっくばらんに話せるのって大事。こんな妄想を若い人と一緒に話し出したら、どんどん実際に動きだしそうだなあ。

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 いしだ・りょういち 不動産コンサルの「バリューレイズ」代表取締役。空室対策、賃貸管理運営代行による中小ビル再生を手掛ける。福井市のリノベーション事業「スナックランド」に参画。福井市出身。

 あらかわ・きみよし リノベーション建材企画・販売の「TOOLBOX」執行役員。「自分の空間を編集していくための“道具箱”」をコンセプトに、ネットショップ「R不動産toolbox」を運営。坂井市出身。

 うちだ・ゆき シンク・ドゥ・タンク「リ・パブリック」共同代表。都市のイノベーションを研究・実践し、福岡市の国際都市戦略などに携わる。観光ガイド本「福井人」制作に発起人として参画。福井市出身。

 たなか・はるあき 「春蒔プロジェクト」代表取締役。都内6カ所に展開するクリエイター専用のシェアオフィス「co—lab」の企画運営代表。会員の「集合知」を生かし新しい表現や価値観を創出している。福井市出身。

 さたけ・まさのり ヤフーショッピングカンパニーご当地eコマースストア開発マネジャー。全国各地の自治体などとITによる地方活性化を推進。「福丼県プロジェクト」実行委員も務める。あわら市出身。

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 新連載「空想まちづくり」では、福井のまちを面白くするための方法を考え、空想のまちづくり事業として紙面で提案していきます。(1)実現可能性はいったん度外視(2)突拍子がなくても面白ければいい(3)でも地域の課題はちゃんと踏まえる—がモットー。県内9市を順に巡り、各地の担当記者がまちのプレーヤーとともに「わがまちはこうありたい」という空想を膨らませます。

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