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第90回全国高校野球選手権 甲子園特集

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福井商16強逃す
仙台育英(宮城)に4―6

2008年8月13日掲載

 第90回全国高校野球選手権記念大会第11日は12日、甲子園球場で2回戦3試合を行った。本県代表の福井商は第3試合で、仙台育英(宮城)と対戦、4―6で惜しくも敗れ、2年ぶりの16強入りはならなかった。
 福井商は五回、一死から河合の二塁強襲安打、松田のバスターエンドランなどで一死満塁とし、2四死球の押し出しで4―4の同点に追いついた。しかし直後の五回裏に2点を奪われ、勝ち越しを許した。
 1回戦で好投した主戦竹沢佳はボール先行の苦しい立ち上がりで2回0/3を4失点で降板。六回から4番手で救援した辻岡が堅守に支えられ無失点に抑えたが、打線は仙台育英の2番手木村を捕らえきることができなかった。

追撃の手 最後まで
6回以降無失点 あと2点届かず

高校野球

○…仙台育英―福井商…○ 3回表福井商無死三塁、松田の中飛で返球がそれる間に生還する河合。次打者松永=甲子園

 ▽2回戦
福井商 (福井)011020000|4
仙台育英(宮城)21102000×|6

 【評】福井商は終始、追いかける展開の中、五回に同点に追いつくなど粘り強さを発揮した。2点リードを許した六回以降は、4番手辻岡の丁寧な投球と堅守で無得点に抑え反撃を待ったが、あと一歩及ばなかった。
 福井商は2点を先制された二回二死一、二塁、島野が左翼線へ二塁打を放ち1点。再び2点差とされた三回には先頭の河合が左越えに三塁打を放ち、続く松田の中飛で中堅手の返球が悪送球となる間に生還した。
 五回には松田のバスターエンドランなどで一死満塁とし、中村、荒川への四死球押し出しの2点で4―4の同点とした。しかし五回途中から救援した1年生左腕木村から2安打しかできなかった。
 福井商の先発竹沢佳は序盤からボール先行の苦しい立ち上がり。初回、1番橋本の二塁打を皮切りに4安打で2点を先制された。二、三回にも1点ずつを失い、2回0/3で降板。2番手の1年生左腕藤田は三、四回を抑えたが、五回二死一、二塁から小川に左中間三塁打で2点を奪われた。
 六回には1年生右腕長谷川が登板し無死満塁とされ降板。4番手で登板した辻岡が、堅守にも支えられ3回を被安打2、失点0の好救援。反撃を待ったが、七―九回は、二塁も踏めなかった。(近藤洋)

4番手辻岡 気迫の好投

高校野球

6回裏無死満塁から登板し、無失点で切り抜けた福井商の辻岡

 「ヨッシャー」。福井商の辻岡は、八回二死一、二塁のピンチを、投ゴロに仕留めると、何度も右手を振り下ろした。気迫の投球で最終回の攻撃につないだ。
 最後の夏。県大会は背番号1だった。ところが大会直前の6月中旬、右足の肉離れ。思うような投球ができない中、1試合を任され勝ったものの、2ケタ安打の浴びる不本意な出来。それっきり登板できず、エースの座も2年生の竹沢佳に譲り渡した。
 「夢であり、目標」の甲子園のマウンドに立てたのは、4―6の六回無死満塁から。竹沢佳に加え、2人の1年生に次ぐ4番手としてだった。「三者凡退でチームに勢いづけたいけど、僕はそんな投手ではないから」と気迫だけを前面に押し出した。それに応えるように守備陣も奮起、満塁の場面の左飛では鮮やかな中継プレーで三走を本塁補殺に切って取った。
 七回には二死二、三塁で甲子園通算8打数7安打の橋本。カウント1―1から捕手中村が立ち上がって1球ウエスト。敬遠のように見せかけてから、低めに決め2―2。ファウルで粘られたが、最後は一塁ゴロにしとめた。
 ピンチのたび、中村がマウンドに来て「ナイスボール」と背中をたたいた。野手陣は「強い気持ちで投げろ。おれらが守ってるから」と声をかけた。140キロ以上出せたはずの直球はこの日、最速137キロ。それでも「気持ちを込めて、思い切り投げたストレート。今まで生きてきた中で1番のボールだった」と振り返った。
 「竹沢は精神的にも、肉体的にも、技術的にも僕より上。甲子園に帰ってきて、上を目指して優勝してほしい」。泣きながら夢の続きを託した。3回被安打2、与四球3、そして失点0。“辻岡の42球”は後輩たちの胸にしっかりと刻まれたはずだ。(近藤洋)

松田主将 気持ち前面 率先

高校野球

チームメートに声を掛ける福井商の主将松田

 九回二死。カウント2―2から、意地の一打だった。「1球1球食らいつく」。松田主将は口癖にもなっていた言葉を、自ら示して見せた。
 「足が特別速いわけではないし、投げ方もよくない」。北野監督は、入学時の松田を「優れたものがない」選手だと思っていた。ところが飛び切りのものを持っていた。「根性がすごかった。松田がいないと、このチームが火が消えたようなもの」。いつしか、炎のチームの欠かせない男になっていた。
 「情けねーぞ」。練習でまずいプレーが出ると、容赦なくチームメートに声を荒らげる。投手がいい球を投げ込むたび、「オッシャー」と盛り上げる。「声を出していないと、なんだか調子でなくて。だから僕はいつも声がかれているんです」
 もう一つの口癖が「僕らは勝って強くなるチーム」。指揮官の言葉でもあった。仙台育英戦では5打数2安打。守備でも二遊間の深いゴロをきっちりアウトに仕留める好プレーがあった。勝つたびに自身も上達していった。
 九回の出塁後、けん制、挟殺で自らが幕を下ろす結果に。「申し訳ない」と涙をあふれさせる中、後輩たちに「気持ちを前面に出すプレーを心がけてほしい」との言葉を残した。その言葉通りに戦った姿とともに。(近藤洋)

1番河合本領発揮
 ○…5打数3安打と本領を発揮した1番河合。三回は左越えながら、俊足を生かして三塁打に。「打った瞬間から、次の塁、次の塁を目指している」という積極走塁が奏功した。  続く松田の中飛で、中堅橋本が、捕手の頭上を越える悪送球をしたのを見逃さず、きっちり生還。「強肩だからこそ、逆にあると思っていた」と想定していたからこその走塁もあった。
 2本目は二塁手強襲、3本目は一、二塁間を鋭く抜いた。1回戦でもダメ押し2点適時打など2安打。県大会は通算3割3分3厘で「調子が上がっていない。もっと打ってほしい」と指揮官が名指しするほどだったが、見事期待に応えた。
 何より悔やんだのは九回の凡退。「最後の打席で反撃ムードをつくれなかった。僕が出塁していれば…」と。

島野が待望初安打
 ○…第1打席で三塁線を抜く二塁打を放った島野。父親が夏の甲子園で無安打で、自身も昨夏と今夏の1回戦で快音なしだっただけに、父親のいる応援席に向かって右手を高々と挙げ、喜びを爆発させた。
 県大会通算は強力打線といわれた中で、ただ1人、2割台。大会中に「当てにいっているぞ。しっかりと振っていけ」と言われた父親の言葉を胸に、初球、ファーストストライクを振り抜いた結果だった。「何とも言えない感触だった。一生忘れないと思う」

2008年8月12日掲載

きょう仙台育英と2回戦
福井商「粘り勝つ」

 第90回全国高校野球選手権記念大会で本県代表の福井商は第11日の12日、2回戦第3試合で仙台育英(宮城)と対戦する。ともに1回戦では投打がかみ合い、快勝した。対戦を前に両監督に現在のチーム状態や意気込みを聞いた。

両校 かく戦う
竹沢もり立て最少失点 北野監督
投手陣の踏ん張り重要 佐々木監督

高校野球

北野監督

 ―初戦を振り返って。
 北野尚文・福井商監督
 選手一人一人がよく頑張ってくれた。県大会で一戦一戦成長して、甲子園でも本当にいい戦いができた。
 佐々木順一朗・仙台育英監督 試合日程が変わったりもしたが、思っていた中では一番いい形が出た。投手陣がもう少しシャキッとしてくれるといいのだが。
 ―相手の印象は。
 北野 「東北の雄」「全国トップクラスのチーム」。個々の能力が非常に高い。今年もそのようだ。
 佐々木 北野監督は、ものすごく甲子園に慣れている印象。酒田南を完全に牛耳ったのだから、選手全員もしっかりしているだろう。
 ―相手で注目する選手は。
 北野 やはりトップバッター(橋本)。すごく出塁率が高いようで要注意。投手は右の子(穂積)はボールに力がある。インコースのシュートは右打者はなかなか打てないだろう。

高校野球

佐々木監督

 佐々木 背の高い竹沢君。スピードガン表示より打席ではるかに速く感じるようだ。あとは角度がどうなのか。うちは左打線なので、それをどう克服するかだ。
 ―試合展開は
 北野 竹沢をバックがもり立てて最少失点に抑えることが一番重要。そしてシュートを打つためにも左打者が鍵になる。
 佐々木 投手陣がなんとか抑えていい試合に持ち込むのが最低条件。その上で、竹沢君とうちの打者陣の勝負。
 ―現在のチーム状態は。
 北野 竹沢は回復して、いいボールがコースにきている。守備も動きがよかった。ずいぶん上達している。
 佐々木 全員が体調を崩さずにきている。(1回戦5安打の)橋本はあれくらいは打つ選手。
 ―2回戦への抱負を。  北野 全国トップクラスのチームとはいえ、気持ちの面で負けないように、粘り強く戦う。
 佐々木 県大会で負けを味わってきたチームなので、選手たちは謙虚。守り抜いて運を味方につけたい。

仙台育英プロフィル
 3年連続21度目の出場。左打者が7人並ぶのが特徴で、宮城県大会のチーム打率は3割2分6厘。決勝では昨秋に0−8でコールド負けした強豪東北との接戦を1−0で制した。
 1回戦菰野(三重)戦は、4−1で快勝。打線はプロ注目の右腕西を攻略し、毎回の13安打を放った。
 投手陣は、県大会同様、2年生右腕穂積と1年生左腕木村の継投で抑えた。穂積は内角を突く140キロの直球と、低めのスライダーが持ち味。直球はシュート回転するため、右打者の内角に食い込む。木村は直球が130キロ前半ながら、緩いカーブと短い投球間隔でテンポ良く投げ込む。
 正式名は仙台育英学園高校。主なOBは、昨夏、甲子園大会最速の155キロ超の速球をマークした由規(佐藤由規、東京ヤクルト)ら。

内野陣 動き軽快
相手投手想定し打撃に熱
福井商

高校野球

走者を置いたノックで軽快な動きを見せる内野陣=豊中市の豊中ローズ球場

 福井商ナインは11日、豊中市の豊中ローズ球場で2回戦に向け練習を行った。内野陣は軽快な動きを見せ、好調な様子。1回戦で好投した主戦竹沢佳も疲れを見せず、切れのあるボールを投げ込んでいた。
 練習は午後3時から約2時間。シートノックでは走者を置き、状況に応じた野手の連係を確認し、軽快に打球をさばいた。
 打撃練習では、仙台育英の先発起用が予想される右の穂積、救援の左腕木村の両投手を想定。右打者のインコース攻めで1回戦好投した穂積を攻略しようと、鍵になる左打者陣を中心に熱心に打ち込んだ。初戦でダメ押しの2点適時打を放った河合らに、北野監督が攻略法をアドバイスしていた。
 六回一死までノーヒットピッチングの快投を見せた主戦竹沢佳は約30球の投げ込み。1球1球コースを丁寧に突き「疲れもなく調子はいい。初戦のつもりで投げたい」と話していた。松田直久主将は「自分たちのやってきたことを出して、自分たちの野球をするだけ。向かっていく気持ちで戦う」と、試合に向けて徐々に気持ちを高めていた。

福井商あす仙台育英戦

2008年8月11日掲載

 第90回全国高校野球選手権記念大会で本県代表の福井商は第11日の12日、2回戦第3試合で仙台育英(宮城)と対戦する。午後2時半試合開始予定。
 福井商は1回戦酒田南(山形)戦では、打線が初回に2点を先制。終盤の八回にスクイズで1点、九回には3点を加えるなど、そつのなさを遺憾なく発揮。主戦竹沢佳は六回一死までノーヒットの好投で1失点に抑え、6―1で快勝した。
 仙台育英は3年連続21度目の出場。打線は左打者が7人並ぶのが特徴で、1回戦菰野(三重)戦では、140キロ超の直球を低めに集めたプロ注目の好投手右腕西を攻略。打線は毎回の13安打を放ち、たたきつけるバッティングに徹しフライアウトはわずかに2つだった。投げては2年生右腕穂積と1年生左腕木村の継投で最少失点に抑え、4―1と理想的な勝利を挙げている。
 特に昨夏から1番を打つ橋本主将は5打数5安打と大当たり。左中間、中前、右前と広角に安打を放ち、俊足を生かして2三塁打。7番小川も俊足を生かしバントヒットなど3安打を記録した。
 仙台育英の佐々木監督は「投手陣が最少失点に抑えられるか最低条件。その上で、スピードガン表示よりはるかに速く見える竹沢投手をどう打つかが鍵」と話していた。

福井商 1回戦突破
酒田南(山形)に6―1

2008年8月9日掲載

 第90回全国高校野球選手権記念大会第7日は8日、1、2回戦計4試合を行い、1回戦第2試合で本県代表の福井商は6―1で酒田南(山形)に快勝した。夏の大会の初戦突破は2年ぶり。
 福井商は初回、宇原の中前打で2点を先制。1点差に追い上げられた八回にスクイズで加点。九回には河合の2点適時左前打などで3点を加え、突き放した。
 投げては主戦竹沢佳が六回一死までノーヒットに抑える上々の立ち上がり。好守もあり、被安打5、失点1で危なげなく完投した。
 北野尚文監督は、この日の勝利で甲子園通算30勝を達成した。

“福商野球”の真骨頂

高校野球

夏の高校野球1回戦で酒田南(山形)に快勝し、アルプススタンドに向け笑顔で駆け出す福井商ナイン=8日、甲子園球場

 ▽1回戦
 福井商(福井)200000013|6
 酒田南(山形)000001000|1

 【評】福井商が初回の先制と、中盤の好守、終盤の追加点と攻守がかみ合い、好投手を擁する酒田南に快勝した。
 初回、酒田南の先発左腕安井から連続三振を奪われたが、3番松永が10球粘って四球、4番中村も8球目を深い守りの外野陣の前に落とす右前二塁打で二死二、三塁とし、宇原の中前打で2点を先制した。
 守っては六回裏に二塁打と暴投で一死三塁とされ、内野ゴロの間に1点を返されたが、七回裏一死二塁からの安井の中前打で本塁突入を狙った二走を、中堅荒川―三塁野路―捕手中村の中継プレーで補殺し同点を阻止した。
 直後の八回に無死二、三塁から、松田がスクイズを決めて再び2点差としたのが大きかった。九回にも二死二、三塁で、河合が2番手小山から2点左前打を放つなどして3点を加え、突き放した。
 主戦竹沢佳は、酒田南の主戦安井との2年生左腕対決を制した。130キロ前半ながら伸びのある直球に、緩いカーブやひざ元へのスライダーを決め、六回一死までノーヒットピッチング。被安打5、失点1にまとめ、完投した。 (近藤洋)

好返球補殺、スクイズ加点

高校野球

○…福井商ー酒田南…○ 7回裏酒田南1死二塁、安井の中前打で二走奥野が本塁を突いたが、福井商の中堅手荒川、三塁手野路とつないだ返球で捕手中村がタッチアウトにする=甲子園

 福井商が好守と1点にこだわった攻撃で、終盤までの息詰まる展開を制し、勝利を呼び込んだ。
 好守といえば、六回に1点を返され嫌なムードが漂い始めた七回裏一死二塁で中前にはじき返された場面。やや後ろに守っていた荒川から三塁手野路、捕手中村へとつないだ返球は”ストライク”。同点を狙い本塁突入を図る二走を鮮やかに補殺した。
 荒川は「いつも練習していること、カットマンに野路が入ると思って投げた」。荒川の思い描いた通りに入った野路も「いい球が来た。絶対アウトにせなあかん」とつないだ。「完ぺきだった」と声をそろえるプレーが、試合の流れを福井商に引き寄せた。北野監督も「練習の成果を発揮してくれた」と手放しで喜んだ。
 直後の八回には福井商らしいスクイズ。無死二、三塁から主将松田。「打て」のサインが繰り返し出され誰もが強攻と思っていたが、カウント1―3で突然、「スクイズ」のサイン。「スクイズは本来難しいものだが、選手がやりやすい、いいカウントをつくってくれたから」と北野監督が振り返ったプレーは、見事的中。指揮官が「どうしてもほしかった」という大きな1点になった。
 基本を積み重ねた守備に、要所での決定的なスクイズ。好投手安井をはじめ、大阪など山形県外から選手が集った精鋭チーム酒田南に対し、「スターなきスターチーム」の福井商。基本プレーに徹する福商野球の真骨頂を存分に見せつけた。(近藤洋)

竹沢佳 直球伸び1失点完投

高校野球

酒田南打線を5安打に抑え完投した福井商のエース竹沢佳

 福井商の2年生エース竹沢佳が被安打5、失点1で完投。六回一死までノーヒットピッチングの快投だった。
 セットポジションから、ゆったりとしたフォームで多彩な球種を投げ込んだ。185センチの長身で腕も長いうえに、意識して球持ちを良くすることで、スピード以上に打者には打ちにくいようだ。
 加えて「全く緊張せずに投げられました」という強心臓。甲子園のマウンドは「投げやすいし、小さいころからここで投げたかった。楽しめた」と笑みがこぼれた。
 スピードよりも球の伸びにこだわってきた。「今日は直球がしっかり伸びていた」。緩いカーブやひざ元へのスライダーも決まっていたが、「この日1番の球」には直球を挙げた。
 「相手投手には負けたくない」と、前評判の高い同じ2年生左腕の安井に、並々ならぬ闘争心。球速で上回る相手に投げ勝ったことで「球の伸び」の大切さを実証した。
 「(捕手の)中村さんが、僕の投げたいボールのサインを出してくれた」と息もぴったり。県大会の背番号10から甲子園の勝利投手と、一戦一戦強くなる左腕から目が離せない。

宇原が千金先制打
“遅れてきた男”会心

高校野球

1回表福井商2死二、三塁、宇原が中前に先制の2点適時打を放つ

 「キーン」。胸のすくような快音が甲子園に響いた。初回二死二、三塁から5番宇原が鮮やかなセンター返し。先制の2点適時打で流れを引き寄せた。
 試合前、「いい緊張」と話していた宇原。初回、いきなり好機が巡ってきた。出番直前まで「(心臓が)バクバク状態だった」というが、打席に立った瞬間「全然緊張がなくなった。ボールも見えた」。振り抜いたバットは「快音が広がって、初めての感覚だった」という会心の一打だった。
 「相手投手の切れのあるボールを見たときは、点が取れるのかと思った」と北野監督。事実、1、2番が連続三振に倒れ、4番中村の二塁打も、深く守っていた外野陣の前に落ちるラッキーな当たり。それだけに、値千金の一打だった。
 六回の中飛もしっかりととらえた当たり。九回には外から入ってくるスライダーを左翼線へ運ぶ二塁打を放ち、この日2安打2打点と絶好調。
 北野監督のアドバイスで打撃フォームを改善、県大会1週間前の練習試合で大当たりし、背番号12で5番レギュラーをつかんだ”遅れてきた男”。次戦の伝統校・仙台育英戦に向けては「全力プレーで倒したい」と言い切った。

北野監督 甲子園30勝
 「河合がウイニングボールをくれたんですよ」。お立ち台で北野監督が、少し照れくさそうにボールを出した。この日の勝利で同監督は甲子園通算30勝を達成。福井商を率いて通算35回甲子園に出場し戦績は30勝34敗、夏は16勝17敗となった。
 北野監督は1968年、福井商へ赴任し野球部監督に就任。71年センバツで甲子園に初出場、翌72年のセンバツで初勝利を挙げた。主な成績は78年センバツ準優勝、96年夏の甲子園4強、02年センバツ4強など。
 選手たちも監督の30勝を意識していたようで、河合は「ここまでこれたのは監督さんのおかげ。感謝の気持ちを込めて渡したかった。最後は僕のところに飛んでこいと思った」と笑顔。北野監督は「甲子園で1勝挙げるのは大変なこと。選手も一生懸命努力している。選手と支えてくれた人に感謝したい。幸せです」とかみしめるように話した。

「完ぺきな試合だ」
福井商 初戦突破
大応援団 沸き立つ

高校野球

8回表、待望の追加点に沸き返るアルプススタンド=8日、甲子園球場

 初回に先制、終盤に効果的な追加点を挙げて追撃を振り切った福井商の試合運びに、1塁側アルプススタンドを埋めた約2000人は沸きに沸いた。奮闘を見せるナインに負けじと、一投一打に力の限りの声援を送り続けた大応援団。最後の打者を打ち取った瞬間、ボルテージは最高潮に。「完ぺきな試合だ」「次の仙台育英戦も頼んだぞ」―。2回戦への期待を込め、選手の奮闘ぶりをたたえていた。

 盛り上がりはいきなり初回から。二死二、三塁から宇原選手が先制タイムリーを放つと、応援団は一気に高揚した。父雅弘さん(43)は「前の2人が粘ってくれた後で、きっちり仕事をしてくれた」と、父母の会メンバーから手荒い祝福を受けつつ、ほくほく顔。
 その後は2年生左腕同士の投げ合いで、引き締まった試合展開が続いた。昨夏の甲子園にエースとして出場した山田雄平さん(19)は、OB約20人とともに最前列で観戦。力投を見せる竹沢投手に「入学してきた時、おもしろい素材だなと思っていた。疲れてきても、うまく抑えている。同じ2年生相手、絶対に投げ勝って」とエールを送った。
 六回には、中村捕手がライト前に力強い当たりを放ち出塁した。母有紀さん(39)は「1本目はポテンヒットですっきりしなかったけど、2本目もまだまだ。もっと打ってほしい」と話していた。
 1点差に迫られた後の七回裏、一死二塁のピンチを迎えスタンドは重苦しい雰囲気に包まれた。ところが、ヒットで本塁を狙ったランナーを中堅荒川選手、サード野路選手の見事な中継プレーで阻止すると、一転して大きな歓声が上がった。野路選手が所属していた少年ソフトボール啓蒙アトムの野坂恭二監督(61)は「昔から運動神経が良くて器用な子。いいプレーだった」と目を細めた。
 ピンチを抑えた後の八回には、松田主将がきっちりスクイズを決め再び2点差に。大野市で経営するガソリンスタンド3店舗を臨時休業し、従業員らと応援していた父耕明さん(47)は「よそ行きの野球をしなければいいんだ。しっかり仕事をしているじゃないか」と、息子を見守り続けた。
 最後の打者を外野フライに打ち取ると、この日一番の大歓声がスタンドを覆った。応援団はネット前に詰め掛け、駆け寄ってきたナインを出迎えていた。

甲子園あこがれ
福井リトルシニアが観戦
先輩3人 ベンチ入り

高校野球

竹沢投手ら3人の先輩に声援を送る中学硬式野球「福井リトルシニア」の選手たち

 竹沢佳、野路、清水のベンチ入り3選手を出している中学硬式野球「福井リトルシニア」のメンバー16人がスタンドに駆け付け、先輩たちの活躍に大声援を送っていた。後輩たちは、夢の舞台へのあこがれを一層強くしていた。
 主将の石黒竣也君=森田中2年=は「いいペースで試合が進んで、流れはこっちに来ている」と興奮気味。中山大督君=大東中2年=は竹沢投手の好投に「しっかり抑えていて、同じピッチャーとしてすごいと思う」と尊敬のまなざしを送っていた。
 この日出番がなかった清水選手の弟克哉君=森田中3年=は「先輩が3人もいるので応援に力が入る。兄が活躍するところを見てみたい」と次戦に期待をつないでいた。
 監督を務めるのは竹沢投手の父貞佳さん(40)。「100点をあげてもいい投球だった。初速と終速の差が少ないから、伸びるように感じるのかな」と分析。攻守に活躍した野路選手にも「彼らしいバッティングを見ることができた」と満足げの様子だった。

2008年8月8日掲載

きょう酒田南(山形)戦
福井商 調子は上々
左右投手想定 打ち込み快音

高校野球

酒田南の左右の投手を想定し打撃練習を行う福井商ナイン=大阪府豊中市の豊中ローズ球場

 第90回全国高校野球選手権記念大会第7日の8日、本県代表の福井商は第2試合(午前11時開始予定)で酒田南(山形)と対戦する。福井商ナインは7日には、大阪府豊中市の豊中ローズ球場で最終練習を行った。1回戦最後の試合とあって調整期間は十分。疲労が抜け、調子は上々の様子だった。
 午前9時から約2時間、守備と打撃練習を行った。ノックでは松田直久主将らがグラウンドに声を響かせ、軽快に打球を処理。併殺や外野からの中継プレーなども確認した。
 打撃練習では酒田南の左右の投手を想定。マシンは2年生左腕、安井のカーブに設定した。県大会決勝で19得点をたたき出した打撃陣は好調をキープしているようで、右へ左へと快音を響かせていた。北野尚文監督もバッティングケージの後ろに陣取り、一人一人に打撃フォームなどをアドバイスした。
 ともに県大会の打率が3割以上ながら「もっと打てる」(北野監督)と期待がかかる1番河合、3番松永もセンター、レフト方向へ鋭い打球を放っていた。
 主戦の2年生左腕竹沢佳汰は約40球の投げ込み。腰の回転などフォームを確認した後、直球のほかカーブ、スライダー、フォークなども試していた。2年生左腕対決が濃厚ということもあり、竹沢は「だんだんよくなって調子はベスト。緊張もしていないし、思いっきり攻めのピッチングをしたい」と闘志を燃やしていた。
 松田主将は「初戦のために集中してやってきた。爆発させたい」と高ぶる気持ちを抑え切れない様子。北野監督も「『前(ぜん)後(ご)際(さい)断(だん)』で瞬間瞬間、一球一球に集中して、攻守ともに粘り強くプレーしてほしい」と話していた。

2008年8月7日掲載

あす酒田南(山形)と初戦
福井商「力出し切る」

かく戦う
北野監督 1、3番の本領発揮カギ
西原監督 2枚看板 踏ん張り期待

 第90回全国高校野球選手権記念大会で本県代表の福井商は大会第7日の8日、1回戦第2試合で酒田南(山形)と対戦する。両チームの監督に意気込みを聞いた。

高校野球

健闘を誓い合う福井商・北野尚文監督(右)と酒田南・西原忠善監督=甲子園球場

 ―相手チームの印象は
 北野尚文・福井商監督
 「夏の酒田南」として、名前を聞いている。最近めきめきと力をつけているという印象。
 西原忠善・酒田南監督
 名門で、甲子園に度々出ているチーム。そつのない確かな野球をするチームだと思う。
 ―相手チームで警戒しているのは
 北野 左右の両エース。特に準々決勝と決勝を抑えている(2年生左腕の)安井君は、それぞれ2安打、3安打とすごくいいピッチングをしている。切れのある球を投げるようだ。
 西原 とにかく予選で打線が好調で、投手もきっちり抑えた様子。話題になっている中村捕手、左の竹沢佳投手は身体能力が高い、いい選手という印象。
 ―自チームの持ち味は
 北野 県大会前は打てず、失点は多いで、どうなるかと思っていたが、1戦1戦、勝つことによって強くなってきた。
 西原 小粒で派手さもなく、並みの選手ばかりだが、謙虚に野球をやり、自分の役割を理解している。
 ―試合のキーマンは
 北野 ピッチャーを含めた守りが一番大事。投手は5人ベンチ入りしているが、調子がいいのは竹沢佳。試合でいかに力を発揮してくれるか。
 西原 やはり左右2人の投手。福井商は強力打線ですから、どちらが投げるにしても、継投にしても、ある程度踏ん張って、いい勝負をさせてもらいたい。
 ―攻撃面では
 北野 中村がよく打っているが、1番河合、3番松永が打てていない。持っている力を出してくれると打“線”になる。1、3番が打てるか、出塁できるかが大きい。
 西原 うちは主軸に回して打点を稼いでもらうのがパターン。3、4番の周りの小粒な左打者が、甲子園で思う存分駆けめぐってくれれば、うちのペース。
 ―試合展開は
 北野 ゲームは本当に分からないもの。相手は春の東北大会準優勝の力のあるチーム。粘り強く戦っていくしかない。
 西原 福井商は相当強力な打線なので、最少失点に抑えてほしい。5点以上失点すると返すのはしんどい。
 ―初戦の抱負を
 北野 甲子園は独特。自分の持っている力を100パーセント出せるかどうか。選手は思い切り、伸び伸び戦ってほしい。
 西原 どのチームと対戦するにしても初戦はハードな試合になる。福井商は戦い方を知っている。初戦に全精力、全神経を集中させて戦いたい。

夏の甲子園開幕
福井商 “炎”の行進

2008年8月3日掲載

 第90回全国高校野球選手権記念大会は2日、甲子園球場で開幕。本県代表の福井商は開会式で堂々とした行進を披露した。

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開会式後、初戦突破に向け意欲を示す福井商ナイン

 開会式は午前9時から行われ、昨年の優勝校佐賀北(佐賀)を先頭に、南の浦添商(沖縄)から北の駒大岩見沢(北北海道)までの出場55校が次々とグラウンドに雄姿を見せた。
 福井商は26番目。県大会優勝旗を掲げた松田直久主将を先頭に、一歩一歩力強く甲子園の土を踏みしめた。4年連続19度目出場で昨夏ベンチ入りした選手も多い。一糸乱れぬ行進で炎のチームを満員の観客に見せつけた。
 福井商は大会第7日目の8日、第1試合で酒田南(山形)と対戦する。

闘志胸に堂々
熱気感じ「最高潮」

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開会式後、初戦突破に向け意欲を示す福井商ナイン

 炎のチームが今年も”聖地”に帰ってきた。選手たちは常連校らしく、熱気に満ちた甲子園の開会式を存分に楽んだ。
 ナインは午前6時に起床し、7時半すぎに甲子園入り。北野尚文監督からは「(入場行進で)曲がるときに列を乱さず、胸を張れ」と指摘されていた。
 先頭は県大会の優勝旗を持った松田主将。昨年は号令係としてしんがりで行進したが「今年は周りがよく見えた。これだけの観客の前で試合ができるなんて楽しみで仕方ない。ワクワクしてきた」と笑顔。「旗の重みを感じながら行進した。気持ちも技術面も最高潮で1回戦に臨みたい」と気合を込めた。
 今年の号令係は屋敷駿太。列中央に陣取り「イチ、イチ、イッチニー」と球場に響かせた。一塁側特別席から見守った北野監督は「しっかりと歩いていた」と目を細めた。「90回大会に歴史の重みを感じる。入場行進を見ると感謝の気持ちでいっぱいになる」と感慨深げに話した。
 昨年も正捕手で出場した中村悠平は「やっぱり気持ちいい。去年は緊張していたけど、今年は伸び伸びと行進できました」。「今年は球場の雰囲気を楽しめた」と話すのは松永渓作。島野量平も「甲子園は熱気がありますね」と話していた。
 福井商は高校野球ファンに広く知られており、ファンに声をかけられたり、ユニホームの炎のマークの撮影をせがまれる選手もいた。


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4年連続19度目
福井商まず初戦全力
2年生エース安定 打線は集中打光る

2008年8月1日掲載

 昨秋の県大会を制しながら、今春は準々決勝で敗退。夏の大会はノーシードから勝ち上がり、決勝は19―2と大勝。北野監督が常々話す「勝って強くなるチーム」を具現化、4年連続で代表の座をつかんだ。

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 打線はここ一番の集中打が光る。犠打の精度も高く、決勝の初回11点をはじめ、4、5点以上のビッグイニングを何度もつくり出した。4番中村に加え、6番荒川、7番野路も打率5割を超すハイアベレージ。トップバッターの河合、打撃センスではチーム1の3番松永の打撃が上向くとさらに破壊力を増す。
 県大会で背番号10だった2年生左腕竹沢佳は実質3試合完投するなど29回で自責点4。直球は130キロ半ばながら、手元で伸びるのが特徴。球持ちもよく、直球とスライダーを低めに集め、安定した投球を見せた。ただ計算できる投手が竹沢だけなのが不安材料。
 捕手中村はプロ注目の強肩。外野は守備範囲が広く、堅守で投手をもり立てる。中村、松永、野路、島野は昨夏の甲子園を経験している。

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甲子園55代表出そろう 2日開幕

2008年7月28日掲載

 熱戦制し、55代表校が決定―。第90回全国高校野球選手権大会(8月2日から17日間・甲子園)の代表校に27日、慶応(北神奈川)関東一(東東京)近大付(南大阪)が決まり、出場校が出そろった。
 北神奈川では九回に2点差を追いついた慶応が延長十三回に3点を奪い、46年ぶりの出場。南大阪では近大付が延長十二回、サヨナラ勝ちした。
 この日ですべての組み合わせが決まり、開会式の選手宣誓は福知山成美(京都)の椎葉一勲主将に決まった。

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福井商4年連続甲子園
北陸に19―2 初戦は酒田南(山形)
大会7日目

2008年7月25日掲載

 第90回全国高校野球選手権記念福井大会は最終日の24日、福井市の県営球場で決勝を行い、福井商が19―2で北陸を下し、4年連続優勝を飾った。福井商は県勢最多を更新する19度目の夏の甲子園出場を決めた。春夏通算では36度目となる。北陸の16年ぶり制覇はならなかった。
 決勝に引き続き、福井商の松田直久主将が甲子園大会の組み合わせ抽選のくじを引き、初戦は大会第7日の八月八日、第1試合で酒田南(山形)と1回戦を戦うことが決まった。  福井大会決勝は先攻の福井商が初回、いきなり打者17人を送る猛攻で大量11点を挙げた。三回にも6点を追加するなど打線が20安打と爆発、北陸を圧倒した。準決勝に続き連投の左腕竹沢佳が2失点で完投した。
 第90回全国高校野球選手権記念大会は二日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。

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